はじめに
「エンジニアに興味はあるけれど、どんな種類の仕事があって、実際にどんなことをしているのか分からない…」
そんな不安や疑問を抱えて、一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
エンジニアという職業にはさまざまな分野や役割があり、その全体像を知っているかどうかで、就職活動の進めやすさや入社後の働き方への理解度が大きく変わってきます。
また、入社後も「自分の仕事が全体のどこに位置するのか」を理解できれば、今後のキャリアの方向性も見えやすくなります。
この記事では、
- エンジニアとして実際に求められるスキルやレベル感
- エンジニア職種の全体像(どんな種類があるのか)
- 入社前に知っておきたいポイント
など、文系出身の方にも分かりやすく解説していきます。
この記事を通して、エンジニアの仕事のイメージを明確にし、「思っていた仕事と違う…」という入社後のギャップをできるだけ減らせるようにサポートしたいと思います。
エンジニアに少しでも興味がある方が、安心して新しいスタートを切れるきっかけになれば嬉しいです。
この記事を読んだときのゴール
- 就職活動前にエンジニアを知る
- 前もってエンジニアを知ることによりギャップを減らせる
- 就職活動に有効な情報を得る
- 入社前に準備ができる
- 入社前にエンジニアのレベル感を知れる
エンジニアの分野
エンジニアの分野は以下の通りです。その中でも本記事では「ITエンジニア」について書いていきます。
分野 | 主な仕事内容 |
---|---|
ITエンジニア | システムやアプリ開発、インフラ、データ分析など |
生産技術エンジニア | 製造ラインの効率化、設備導入、コスト削減、生産性向上など |
品質保証エンジニア | 製品の品質管理・改善、不良率低減、検査体制構築など |
保全エンジニア | 設備や機械の点検・修理・保守を通じて稼働率の向上を図る |
製品設計エンジニア | CADを使った機械設計、部品設計、製品開発 |
プロセスエンジニア | 工程設計、化学プロセス管理、製造条件の最適化 |
ITエンジニアの種類と概要
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「ITエンジニア」といってもいくつかの種類があります。
まずは「どんな種類があるのか」「どこに興味があるか」を知るだけでも、キャリアを考える上でとても役立ちます。
- ソフトウェア系エンジニア
- ハードウェア系エンジニア
- インフラ系エンジニア
- データ・AI系エンジニア
- セキュリティ系エンジニア
- その他
ソフトウェア系エンジニア
Webサイトやアプリ、ゲームなど、ユーザーが直接触れるソフトウェアを開発します。
- フロントエンド
- バックエンド
- フルスタック
- モバイルアプリエンジニア
- フロントエンド
Web画面やユーザーインターフェース(ユーザーが見る画面側)の開発を担当。- 使用技術:設計されたデザイン通りに実装、UI/UX設計(もあると尚良い) など
- 使用言語:HTML、CSS、JavaScript など
- バックエンド
ログイン処理など、裏側(サーバ側)のシステムの要件定義〜開発(環境構築含む)〜テストを担当。- 使用技術:API設計、アルゴリズム、データベース技術、システム構成、情報セキュリティ など
- 使用言語:C言語、C#、Java、Ruby、PHP、Python、Go など
- フレームワーク:(C#)ASP.NET、(Java)Spring Boot)、(Ruby)Ruby on Rails、(PHP)Laravel、(Python)Django、(Go)Gin など
- フルスタック
フロントエンドとバックエンドの両方を担当し、アプリ開発の全工程を担当。
- モバイルアプリエンジニア
iOS/Android向けのアプリを開発。- 使用技術:OS(iOS/Android)知識、アルゴリズム、データベース技術、システム構成、情報セキュリティなど
- 使用言語:iOS:Swift など
Android: **Kotlin、**Java など - クロスプラットフォーム:React Native, Flutter など
ハードウェア系エンジニア
家電や自動車など、モノ自体に組み込まれるシステムを開発します。
- 組み込みエンジニア
- 回路設計エンジニア
- 組み込みエンジニア
家電や自動車など機器内のシステム開発。- 使用技術:アルゴリズム、システム構成、情報セキュリティ など
- 使用言語:C言語、C++、アセンブリ言語 など
- 回路設計エンジニア
半導体や電子機器の電気回路を設計・開発。- 使用技術:電子回路設計、半導体知識、電気工学 など
- 使用ツール:CADソフト(Altium Designer、Cadence等) など
インフラ系エンジニア
システムが24時間365日、安定して動くための土台(インフラ)となるサーバやネットワーク、クラウドを支えます。
- インフラエンジニア
- クラウドエンジニア
- インフラエンジニア
社内サーバーやネットワークの構築、運用。- 使用技術:サーバ、ネットワーク、情報セキュリティ、システム構成、コンピュータ構成、コンテナ(DockerやKubernetes) など
- 使用言語:Linuxコマンド, シェルスクリプト、Python(一部自動化のため) など
- クラウドエンジニア
AWS/GCP/Azureなどのクラウドサービスの環境構築- 使用技術:サーバ、クラウド、コンテナ(DockerやKubernetes) など
- 使用言語: Linuxコマンド, Python など
- 使用ツール:Terraform, CloudFormation など
データ・AI系エンジニア
膨大なデータを管理・分析し、AIやビッグデータ技術を使って価値を生み出します。
- データエンジニア
- データサイエンティスト
- 機械学習エンジニア
- データエンジニア
データ分析のための基盤(データの収集・加工・保存)を構築・運用。- 使用技術:DWH/データレイク構築、ETL/ELT処理、データベース、個人情報保護、システム構成、アルゴリズム など
- 使用言語:SQL/Python など
- 使用ツール:ETLツール など
- データサイエンティスト
蓄積されたデータを分析し、意思決定に役立つ洞察を導く。統計や機械学習も活用。- 使用技術:統計学、データ可視化、データベース、アルゴリズムなど
- 使用言語:SQL、Python、R など
- 使用フレームワーク:(Python)Pandas、NumPy、SciPy、Matplotlib、Seaborn など
- 使用ツール:BI ツール(Tableau、Power BI 等) など
- 機械学習エンジニア
データを用いて、AIモデルと機械学習アルゴリズムの開発、トレーニング、評価。- 使用技術:統計学、データベース、アルゴリズム、深層学習 など
- 使用言語:SQL、Python など
- 使用フレームワーク:(Python)TensorFlow、PyTorch など
セキュリティ系エンジニア
企業やシステムの安全を守るため、セキュリティ対策の設計・監視、インシデント対応を行います。
- セキュリティエンジニア
- セキュリティエンジニア
脆弱性診断、ネットワークやアプリのリスク分析、セキュリティポリシー策定、運用、監視、インシデント対応- 使用技術:サーバ、ネットワーク、コンピュータ構成、システム構成、情報セキュリティ、OS知識、マルウェア解析 など
- 使用言語:Python、Bash、シェルスクリプト など
- 使用ツール:SIEM(Splunk, ELK Stack)、IDS/IPS(Snort, Suricata) など
その他
その他、エンジニアではないが、エンジニア職に関係する種類も以下記載しておきます。
- セールスエンジニア/プリセールスエンジニア
- 社内SE
- SES
- 工程ごとの専属担当
- セールスエンジニア/プリセールスエンジニア
技術を理解した上で、技術者と営業の橋渡しをします。- セールスエンジニア
営業と連携して技術的な質問に対応し、製品導入後のカスタマイズや技術支援を行う。導入支援や問題解決も担当。より技術者側。 - プリセールスエンジニア
営業活動前〜商談中に顧客のニーズを技術的にヒアリングし、提案資料作成や製品デモを実施。技術的な説明や競合分析も行う。より営業側。
- セールスエンジニア
- 社内SE
社内の業務効率化を目的としたシステムを開発・運用し、社員がより良く働ける環境を支えます。
- SES
お客様先に派遣(常駐)し、エンジニア業務を請け負います。業務内容はシステム開発、運用・保守、データ分析、インフラなど、お客様先によって異なります。
※エンジニア業務を希望していたのにITヘルプデスクで開発業務ができないということもあるので注意してください。
※派遣とは異なりますので、ここではご紹介しないため、気になる方は「SES 派遣の違い」と調べていただければです。
- 工程ごとの専属担当
※エンジニアではないが、エンジニア職を探している際、出てきます。
エンジニアは全開発工程(用件定義や設計、開発、テスト、運用)を担当する中、
「プログラマー」「テスター」「運用者」と工程ごとに専属して担当することがあります。- プログラマー
”開発”のプログラミンを担当。 - テスター
”テスト”のテスト設計とテストを実施し、エラー内容を開発者に修正してもらうよう共有することを担当。 - 運用者
”運用・保守”の運z用・保守、運用時のインシデント対応、効率化を担当。
- プログラマー
ひとりごと
「エンジニア=数学が得意」というイメージを持つ方が多いですが、実際には分野によって必要とされる数学のレベルや頻度は異なります。
例えば、
・ソフトウェア系エンジニア
・ハードウェア系エンジニア
・インフラ系エンジニア
・セキュリティ系エンジニア
は日常業務で高校や大学レベルの数学的計算(高度な計算)を使用することはほとんどありません。
アルゴリズムや関数といった数学的な考え方は必要になりますが、学生時代に数学が苦手だった方でも十分に活躍できます。
数学的な考え方は業務上のプログラミングをしていけば身に付いていくと思いますので、構えすぎないでください。
※一部、ハードウェア系エンジニア(回路設計など)とセキュリティ系エンジニア(暗号技術など)は数学的計算を使用しますが、文系出身でエンジニアになったばかりの方が初めから使うことはほとんど無いと考えて大丈夫です。
一方、
・データ・AI系エンジニア
は数学、統計学といった数学的計算も使用するため、これらの分野を目指したい方は積極的に学ぶことをお勧めします。
ITエンジニアのレベルごとの特徴
レベル別、sITエンジニアの特徴を4つに分けて見ていきましょう。
- 未経験/ジュニアレベル(0~2年)
- ミドル/一人前レベル(2~5年)
- シニア/リーダーレベル(5~10年)
- スペシャリスト/ジェネラリストレベル(10年~)
未経験/ジュニアレベル(0~2年)

〜Level1:まずは冒険の旅へ!装備を整える「見習い」の時代〜
エンジニアとしての冒険が始まったばかりの時期。すべてが新しく、覚えることだらけです。
ここでのミッションはただ一つ、「言われたことを、完璧にできるようになること」。
- スキルレベル
- 基本的な技術やIT知識の習ごt得、業務理解を深める段階。
- 自走力の基礎を身につけ、雑務含めた指示された作業を確実にこなしていき、「このタスク任せたいな」と先輩に頼られる数を増やすことを目指そう!報連相も徹底する。
- エラーやトラブル対応を通じても成長。
- 業務内容
- 基本的な業務の遂行
先輩や上司の指導のもと、プログラミング・テスト・運用/保守などの基礎的な実務に従事する。ドキュメント整理や資料作成など、周辺的な業務や雑務も担当する。 - 設計やプロジェクト推進への部分的な参加
- 担当する範囲は限られるが、設計やプロジェクト推進などにも一部関与することがある
- 実務を通じたスキル習得と知識の定着
日々の業務を通じて、社会人基礎力や業務知識、プログラミング技術を身につけていく。
- 基本的な業務の遂行
- キャリア
- 基本情報技術者試験などの資格取得にチャレンジするのも有効。
※「何を学んだら良いかわからない」場合は、資格勉強から始めても良い。
- 基本情報技術者試験などの資格取得にチャレンジするのも有効。
- 必要スキル
- プログラミング言語1つ以上
- Git/GitHubの基本操作※尚良し
- 基本的なWeb技術の理解
- ドキュメントを読んで理解できる
- 学習意欲
- コミュニケーション能力
ミドル/一人前レベル(2~5年)

〜Level2:パーティの中核へ!自分の役割を見つける「一人前」の時代〜
基礎的な戦い方を覚え、パーティ(チーム)の中で頼れる存在になってくる
時期。ここでのミッションは、**「担当範囲の仕事を一人で完遂し、+αの貢献をすること」**です。
- スキルレベル
- 基本的な技術やIT知識を習得した上で、さまざまな新しい技術・システムに触れて経験を増やす。
- 仕事の全体像が把握でき、チームプレイも意識できるようになる。
- 「なぜこの技術を使うのか?」「もっと良い方法はないか?」と、「なぜ?」を深掘りし、作業の背景や目的を考え、提案することで、「作業者」から「エンジニア」へと進化。
- 業務内容
- 一通りの業務遂行
小規模な機能やタスクについて、設計・実装・テスト・リリース・トラブル対応まで一貫して対応できる。一定の専門知識・スキルと経験を蓄積している。 - プロジェクト推進への主体的参加
自身のタスクや役割の中で、納期や品質を意識して行動し、プロジェクトの目標達成に貢献する。 - 後輩サポート・コードレビュー
後輩メンバーの作業サポートや、コードレビューによる品質向上、ナレッジの共有に関わる。 - 業務自動化・効率化の推進
AIなどの最新技術を積極的に取り入れ、ルーチン業務の自動化や業務フローの効率化を提案・実行する。
- 一通りの業務遂行
- キャリア
- 自分の「好き・得意(〇〇開発やインフラ、顧客とのやり取りなど)」を探し、自分のキャリアの方向性を決め始める
- 別の会社に行くともっと自分自身スキルアップができそうと思う場合、転職も視野に入れるのも良し
- 必要スキル
- 複数言語・フレームワークの経験
- DB設計、API設計の基礎
- テスト設計・実装
- パフォーマンスチューニングの基礎
- セキュリティの基礎
シニア/リーダーレベル(5~10年)

〜Level3:パーティを率いる!影響範囲を広げる「熟練者」の時代〜
個人の戦闘力だけでなく、パーティ全体の強さを考えるようになる時期。
ミッションは**「自分一人の力ではなく、チームとして成果を最大化させること」**です。
- スキルレベル
- 調整力・コミュニケーション力をより意識して伸ばす
- プロジェクト全体を見渡し、指示やサポートができる
- 業務内容
- 上流工程の主導
顧客との要件定義や基本設計など、システム開発の上流工程を主体的にリードし、プロジェクトの根幹部分に関わる。 - 技術面でのリーダーシップ
プロジェクトの技術的な意思決定を担い、難易度の高い技術課題の解決や新技術の導入検討・推進を行う。 - チームマネジメント・タスク管理
プロジェクトリーダーやチームリーダーとして、メンバーのタスクや進捗を管理し、プロジェクト推進に寄与する。 - 後輩育成・メンタリング
後進メンバーへの技術指導やメンタリングを通じて、チーム全体の技術力・業務遂行力の底上げに貢献する。 - ビジネス視点の強化
設計・仕様決定の過程でコストやビジネス要求なども考慮し、プロジェクト全体の成果最大化に努める。 - 問題解決力・調整力の発揮
プロジェクトにおける課題抽出、関係者との調整、適切な解決策の提示を積極的に行う。 - 信頼されるリーダーシップの発揮
組織・プロジェクトに貢献し、周囲から信頼されるリーダーとしての役割を担う。
- 上流工程の主導
- キャリア
- 経験を活かし、この先どちらへ進むか選択の時期。
- 「スペシャリスト」
- 「ジェネラリスト(マネジメント)」
- 経験を活かし、この先どちらへ進むか選択の時期。
- 必要スキル
- システム全体の設計能力
- 複数プロジェクトの経験
- 非機能要件の理解と実装
- チームビルディング
- 技術的なメンタリング能力
スペシャリスト/ジェネラリストレベル(10年~)

〜Level4:伝説へ!新たな価値を創造する「マスター」の時代〜
ここまで来ると、あなたのキャリアは大きく2つの道に分かれていきます。
どちらも組織にとって不可欠な、価値の高い存在です。
- スキルレベル
- 技術力に特化したスペシャリスト、もしくは技術とマネジメントの幅広い知識を持つジェネラリストとして高度な能力を発揮。
- 深い専門性や広範な分野の知識を活かし、組織や事業全体に対して大きな影響力を持つ。
- 技術トレンドやビジネス戦略を深く理解し、経営層とも連携して戦略的な意思決定に貢献する。
- 技術的な探究心とマネジメント能力を両立し、組織の持続的成長を牽引する。
- 業務内容
- スペシャリスト型の場合
- 技術戦略策定への深い関与
特定技術領域の第一人者として、自社の技術戦略策定に参加し、最新技術の導入や発信をリードする。 - 外部技術コミュニティでの発信
技術コミュニティや業界への情報発信、講演や執筆を通じて知見を共有し、会社の技術力向上に貢献する。 - 技術的課題の解決と革新推進
専門分野での深い問題解決を行い、プロジェクトにおける技術的な課題を解決。 - 若手技術者の育成
若手技術者の育成や技術力向上に貢献。
- 技術戦略策定への深い関与
- ジェネラリスト型の場合
- 技術とビジネスの橋渡し
技術とビジネスをつなぎ、組織全体の生産性向上や戦略の実現を推進する。 - プロジェクト・組織マネジメント
複数部門にまたがるプロジェクトマネジメントや組織マネジメントを実施し、調整・統括の役割を担う。 - 経営層との連携による意思決定
経営層と連携し、技術戦略・事業戦略を融合した意思決定を担う。 - ステークホルダー管理とリスク対応
社内外のステークホルダーと連携し、リスク管理や課題解決を積極的に推進する。
※ステークホルダー:その仕事やプロジェクトに『関係するすべての人』
- 技術とビジネスの橋渡し
- スペシャリスト型の場合
- キャリア
- 組織の中核メンバーとして長期的な事業成長や新規事業立ち上げに貢献。
- 技術領域の第一線で活躍し、業界への技術貢献や影響力を拡大。
- ジェネラリストとして経営層に近いポジションで幅広い役割を担う。
- 後進の育成や組織全体の持続的成長を支えるリーダー。
- 技術者としての道を極めるか、マネジメント領域に軸足を置くか、さらなる専門性強化や経営への貢献を模索。
- 必要スキル
- スペシャリスト型
- 特定領域での深い専門知識と技術力
- 最新技術のキャッチアップ能力および技術の事業インパクト理解
- 技術コミュニティや社外への発信力(講演、執筆など)
- 高度な問題解決能力と探究心
- ジェネラリスト型
- 幅広い技術知識と深いビジネス理解
- 組織マネジメント、プロジェクトマネジメント能力
- ステークホルダーマネジメントおよび調整力
- 経営視点によるリスク管理・戦略的意思決定能力
- 優れたコミュニケーション力とリーダーシップ
- スペシャリスト型
ひとりごと
上記はあくまで一例にすぎません。どこまで仕事を任せてもらえるか、またどれだけスキルを身につけられるかは、最終的には自分の行動力次第です。
一つの会社で働き続けるのも選択肢ですが、転職を考えることもとても大切だと思います。たとえ転職をするつもりがなくても、20代のうちに転職活動をしてみることで、
・市場で求められているスキルを知ることができる
・自分の市場価値を把握できる
・これまでの経験や実績を振り返るきっかけになる
など、多くのメリットがあります。
転職活動をした結果、今の会社に残りたいと感じたなら、それでも問題ありません。転職活動自体が、自分を見つめ直す良い機会になるからです。
また、転職活動をしなくても、職務経歴書を年に一度は作成しておくことをおすすめします。自分の成長やキャリアを客観的に見直す習慣が身につきます。
筆者のひとりごと
エンジニアキャリアの多様な可能性
近年、AI(人工知能)の進化が目覚ましく、単純作業は急速に自動化されています。そのため、今後は単純なプログラミング業務の需要は減っていくでしょう。しかし、世の中には複雑な要件や高度な技術(プログラミング技術)が求められるシステムも多く存在しています。AIによって「すべてのプログラマーが要らなくなる」と心配されることもありますが、「複雑なシステムを設計・実装できる、レベルの高いプログラマー」の価値はむしろ高まると考えられます。
よく「平均的な技術力のプログラマーは淘汰され、今後は高いレベルの開発ができる人だけが生き残る」と言われます。確かに、技術の進化スピードに対応し続けるためには、日々努力し続ける覚悟が必要です。世界で活躍するトップ層のエンジニアたちは、仕事以外の時間でもプログラミングや最新技術の習得を楽しんでいますし、分野によっては数学や統計などへの深い理解も求められます。社会人になってからそれらをイチから身につけ、「トップ層」に追いつくのは決して簡単ではありません。しかし、それでも「だから無理だ」と諦めてほしくありません。
「トップ層に勝つのは難しいなら、エンジニアを目指すのはやめた方がいいのか?」
そこで諦めてほしくないと思っています。
なぜなら、プログラマーとして大成する道だけが、IT業界で働くことの価値ではないからです。
むしろ、IT企業に身を置き、
- IT企業で働き、実際にエンジニアがどんな仕事をしているのかを知る
- プログラムの基本構造を読めるようになる
- IT業界の動向や最新情報に触れる
これらができるだけでも、「他分野の仕事をする」「独立を目指す」「これからの時代を生き抜く」ための強力な武器になるでしょう。
例えば、「将来的にカフェを経営したい」という夢があったとします。今の時代、システム導入やWebサイトの作成、SNS運用、あるいは売上分析など、さまざまな場面でITの知識が必要になります。これらをIT技術者や他会社に委託する際、自分自身でシステムの仕組みをある程度理解している場合と、全く知らない場合とでは、大きな差が出てきます。
もちろん、これはカフェ経営に限った話ではありません。会社員として働く場合でも、「ITの知識×他分野(営業・プロジェクトマネジメント・コンサルティング・マーケティングなど)」のようなスキルの組み合わせは、今後ますます求められるでしょう。
エンジニアには「スペシャリスト」と「ジェネラリスト」という2つのキャリアパスがあります。早い段階からどちらになりたいかを意識して考えることがとても大切です。
IT業界は技術の進化が速く、常に最新の情報に触れられる刺激的な環境です。たとえトップエンジニアになれなくても、ITを現場で学ぶことで十分な競争優位性を持てる時代です。
諦めずに、自分なりのペースでスキルアップを一緒に続けていきましょう。
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